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東方紅魔郷SS 更新4

回想③(Stage2)
かくして博麗霊夢は森を抜けたわけだが、そこで目の当たりにしたのは一面に凍りつく湖であった。
「おかしいわね。こんなに凍るほど気温は低くないはずなのに。もうすぐ夏じゃなかったのかしら。」
 霊夢の着ている巫女装束は確かに夏冬両用できるものではあったが、突然の寒波に対応できるはずもない。震えながら湖の上空を進んでいると、背後から声がかけられた。
「おねーさん、なにしてるの?暇ならあたいと雪合戦しない?」
 突然声をかけられ驚いている暇もなく、その少女は持っていた氷を霊夢へと投げつけてきた。ルーミアと同様に人間と変わらない少女のような容姿であり、おてんばという言葉がしっくりくる勝気な目が印象的であった。
「ちょっと、貴女。勝負をするならルールを守りなさい。」
「おねーさんが言ってるのって弾幕勝負のことでしょ?あたいがやってるのは雪合戦だよ。」
 と言いつつも投げてきているのは氷塊である。しかも、その速度が尋常ではなく、普通の人間には一発当たっただけでも致命傷となるレベルであった。
「殺す気満々じゃないの…。ねぇ、貴女。」
「あたいの名前はチルノだ。覚えておきな。」
氷精は自信満々に名乗る。
「そう。ならチルノ。一週間ほど前、黒い魔法使いがこのあたりを通りがからなかった?」
 チルノは一週間ほど前、確かに魔理沙との戦闘を経験していた。しかしその結果は散々なものであり、チルノのプライドはその事実を認めることはできなかった。しかし、嘘をつくことも好きではない彼女は果たして、一瞬よりも長い逡巡のもとはぐらかすこととした。
「そんなのしらないね。……見たかもしれないけど、おぼえてないや。」
「……そう、残念ね。そろそろ雪合戦はおしまいなのでしょう?早くカードを宣言しなさいよ。」
チルノの作った間を十分に理解した霊夢は、さして残念がる風もなくスペルカードを催促する。ルーミアとの戦闘を経験した霊夢はスペカルールによる戦闘に楽しみを見出したようだ。(単純に氷塊を避けるのに飽きただけなのかもしれないが。)
「ばかにするなっ。凍符「パーフェクトッ…」」
しかし、霊夢はスペカ宣言する時間を待つほど甘くない。
「今回は先に宣言をさせてもらうわ。霊符「夢想封印 散」!!!」
 スペルカードの宣言をし損ねたチルノは霊夢の繰り出す弾を受けながらも攻撃を繰り出してくる。思ったよりも濃く、速い弾幕が霊夢に襲い掛かった。霊夢は必死に避けるが、いつくもの弾が体を掠めていく。
「なにこれっ、弾密度が濃いっ!! 侮っていたか、氷の妖精。」
 チャンスと悟ったか、チルノはスペルを宣言する。
「とどめだっ、必殺!!雪符「ダイヤモンドブリザード」(Luna ver)!!!」
 弾密度は濃いけれどもゆっくりとした弾幕がチルノから放たれた。
「やばっ、……ってなんでさっきの攻撃よりも弾幕遅いのよ!」
普段の冷静さを思わず忘れて、霊夢は思わずツッコミを入れる。
「うるさいっ。スペルカードは綺麗な弾幕って指定したのはあんただろっ!? それを目指して悪いのかっ!!」
 叫びながらも必死にスペルを発動し続けるチルノの弾幕を軽々とよけつつ、霊夢は考えていた。そもそも命名決闘法は幻想郷に異変を起こしうる存在に対して、その強大な力を制限しようというものである。力ではなく美しさを目指したのはそのためであり、人間に対して莫大な力を持つ妖怪たちを納得させるにはこの方法しかなかったのだ。しかし…。
 そもそも余り力を持っていない存在にまでルールを課す必用はあったのだろうか。無論この氷精が弱いわけではない。一般人に対してこの力は驚異的、むしろ致命的とも言えるレベルである。
はてさて、この異変を解決した後にスペルカードルールに変更を加える必要があるのだろうか?
(……そうはいっても、これも私がそれなりに力を持っているから考えることなんでしょうけどね。)

「チルノ。」
 霊夢は結局のところこの戦闘に関しては話し合いで収めることとした。目の前の妖精には霊夢との戦闘をする力はない。それでもルールを遵守しようとしたことは発案者として認めるべきだと考えたのだ。
「ちょっと相談に乗ってくれるかしら。」
「相談?あんたみたいなスゴイ巫女に聞くことがあるのか?」
「是非お願いしたいわね。…雪合戦はともかくとして、最終的に貴女はスペルカードルールを順守した戦いをしてくれた。貴女くらいのおてんばな妖精であればルールを守ることはあまり好きではないはずよね。それでも、スペルカードを準備してくれていたのはどうしてなの?」
 霊夢は先に感じた疑問を直接ぶつけてみることとした。上位の妖怪はともかくとして下位の妖精がどう感じているかを聞いてみたかったのである。しかし、この質問の意味がチルノには分かりかねたようで、首をかしげている。もう少し噛み砕いて言う必要があるようだ。
「つまり、……ええと、確かに私は幻想郷の全ての存在に対して守ってもらいたいと思ってこの方法を宣言したわけなんだけど、それは貴女にとっては一方的に決められたことのはずよ。それでも貴女は受け入れてくれた。それはどうしてなのだろうって思ったのよ。」
 なんでっていわれても……、と呟きつつも氷の少女は彼女の気持ちを言葉へと還元していく。
「……、別に、あまり、なんでってことはないけれど……。しっかりとは分からないけれど、こうすればずっと楽しめるんでしょ。ずっと楽しければあたいは嬉しい。そう思っただけよ。ちがうの?」
 結局、霊夢に辿りつけなかったのは『弾幕ごっこ』という遊びの考え方そのものだった。この時までは、あくまでも異変を起こすための一環でしかないと考えていたのだ。元来、人間にとっては一方的な殺し合いである弾幕勝負は妖怪にとっては『遊び』であるという感覚だったのだ。
彼女は (ああ、だからさっきの戦いも楽しかったわけだ。) と納得のいったように、チルノに話しかけた。
「そうね。そうよね、合ってるわ。ならば、改めて尋ねよう。氷を司る君よ。その心を胸に、私と弾幕で遊ばないか?」
 堅苦しい霊夢の誘いをしり目に、
「いいよっ。おねえさんと、遊びたい。」
とびきりの笑顔が返ってきた。


幕間④
「そのやり取りをして初めて私は『スペルカードルール』が間違ったものではなかったということを確信したわけ。まぁ、予定外だったのは貴女方を含めてあんなにも異変を起こそうとする輩がいたことだけよ。」
「結局霊夢たちは何回くらい異変を解決することになったの?」
 外の様子を多くは知らないフランが食いついた。紅魔事変を超えた後確かに外には出られるようになったのではあるが、未だに世間知らずであるようだった。しかしその疑問は…
「いろいろな意味で厄介だから今のは撤回なさい、フラン。」
「なんで?お姉さまだって知りたいでしょ?あ、そうかお姉さまは咲夜からいろいろ聞いているのよね。ずるいんだー。ねぇねぇ、咲夜。霊夢が話してくれないようだから今度話して聞かせてよ。」
 困り顔となっている咲夜に対し、首の動きだけで許可したレミリアは話を先へと進めようと続けた。
「さて、そうして貴女はこの館にたどりついたのよね。……せっかくだからあの娘にも聞かせてやりたいわ。門番を連れてきてくれるかしら。」
 咲夜の後任たるメイド長は、恭しく頭を垂れた。
「まったく、あのメイドは咲夜と違って堅っ苦しいのよね。」
「お嬢様…、それはひどいです。」
長年たてども咲夜とレミリアの蜜関係は変わっていないようだ。

東方紅魔郷SS 更新3

回想②(Stage1)
魔理沙が事件解決に乗り出してから一週間程しよう頃、霊夢は十分に出発の準備を整えていた。結局のところ事件は解決しておらず、更に魔理沙からの連絡も途絶えていた。一度魔理沙の家まで行ってはみたのだが人影は見当たらなかった。信じがたいことではあるが魔理沙が犯人に敗れたという可能性もある。
「まさか、ね。あの魔理沙が負けるはずないじゃないの。いざとなったらマスタースパークの一つも撃てば脱出できる。無論、八卦炉を奪われたかもしれないけど……。」
念のためと自分に言い聞かせながら、霊夢は事件の解決へと旅立った。この一週間での聞き込みの結果犯人はほぼ特定されていた。五年ほど前に湖のほとりにやってきた吸血鬼、レミリア・スカーレット。遊び好きと噂される彼女がスペルカードルールに乗っかってゲームを始めたのだろう。持っている力は非常に強大だということであり、もし噂が正解ならば厳しい戦いが予想される。
(さて、どうしたものか)
 ひとりごちつつも、ほぼ方針は決めている。相手が「ゲーム」を始めたのであれば正面からぶつかってこれを撃破しなければならない。それが博麗の巫女の使命であると彼女は理解していた。

出立した霊夢が博麗神社から紅魔館へと行くためにはまず始めに神社裏の森を抜けなくてはならないのだが、とにかくこの森は障害が多い。特にこの日は満月の夜ということもあって有象無象から攻撃を受けることとなるのであった。必然的に散発的に迎撃をしながらの進行となる。
「もう、鬱陶しい。こんなことなら大周りになっても森は迂回すればよかったわ。……それにしてもいい加減森を早く抜けないと。いくら雑魚の弾幕とはいえ、この数を長時間相手にするのは少し厳しいわね。」
と、そんな悪態をついた瞬間に霊夢は夜よりも深い闇に包まれた。
「……え?」
「闇符「ディマケイション」!!」
突然あらわれた深い闇は、霊夢にスペルカードを宣言するだけの隙を作るのには十分であった。雑魚敵の弾幕とは異なる密度の高い弾幕が掠めていくのを霊夢は肌で感じ取っていた。
「さすがに見えないのはまずいわね……。そこまで弾が速くないから気配でよけることはできるけど、それにしても……」
(スペカルールに感謝すべきね。宣言がなければ直撃していたかもしれない。)
早速、スペルカードルールの効果を感じる霊夢であった。

「はてさて、今晩のお相手は誰なのかしら。」
ある程度上級の妖怪は言葉を解す。会話が成立する相手かどうかは賭けであったが、闇を打開するための時間を稼ぐためにはこれしかないと判断したのである。
この闇は、光を吸収して作られた空間ではなく、濃い霧のような存在であると霊夢は理解していた。見えていない理由は暗さだけなのだ。それならば、慣れることができる。

「ルーミア。あなたはだれ?」
 と勝負を仕掛けてきた少女が返事をしてきた。相変わらず姿は見えないが、どうにか言葉は通じるようだった。
「博麗霊夢、博麗神社の巫女よ。ルーミアは私のこと、知っているのかしら。」
相手に理解しやすいように、時間を稼ぐように霊夢はゆっくりと喋る。
「きいたことあるなー。はくれいのみこ、はくれいのみこ、はくれいのみこ。なんだっけな、あなたは、食べてもいい人類か?」
「食べてもおいしくないわよ。…さて、そろそろゲームを始めましょうか。」
会話をしている間に霊夢は月の光だけで、ルーミアの姿を捉えられるようになっていた。弾幕が互角に見えているという状況になって霊夢がこの戦闘に圧勝したことは言うまでもない。単純に弾幕勝負となった時点で霊夢に拮抗できる存在は、幻想郷内にはほとんどいないのである。きっちりとスペルカードを使い切り、ルーミアは負けを宣言した。
「まけたー。おねーさんつよいね。」
「まだまだ貴女の闇では不十分よ。貴女の姿、少し見えてたわ。」
「そーなのかー。こんどみすちーにやみの作り方を習ってこよう。そーしよー。」
それは構わないけれどスペルカードルールは守りなさいよ、と言い残し霊夢は先へと進んだ。
(しかし、あまりスペルカードを用意してこなかったのは間違いだった……。今の妖怪程度なら霊符「夢想封印」で十分だけど、おそらくこの先はこれでは厳しいだろう。)
 多少の後悔はあるものの、いまさら戻るわけにも行かない。
「きっと、大丈夫よね。」
 

幕間③
「後にも先にもスペルカードルールによる戦闘で戸惑ったのはこの時だけなのよね。」
 と、博麗霊夢は思い返す。
「勿論、魔理沙とは何度かスペカによる戦闘は試したことがあったけど、魔理沙のカードが何なのかよく知っていたから……、知らないスペカを突然相手にするのって結構怖いなってあの時は感じたのよ。」
 今ではそれが楽しみだけど、と霊夢は付け加えた。
「魔理沙さんのスペルカードは、何と言いますか、……独特ですしね。普通の妖怪が出すスペルカードの予想がつかなかったのも、無理ありませんわ。」
 と、この場にいない魔法使いのスペルカードを思い返しながら咲夜はつぶやいた。この中にいる誰もがマスタースパークを目にしている。あのスペルカードは何があろうとも忘れえない。
 更に昔話は続く。

東方紅魔郷SS 更新2

東方紅魔郷
Side Story


幕間①
「博麗霊夢様。吾等が紅魔館へようこそおいで下さいました。」
 霊夢と呼ばれた女性は仰々しく迎え出たメイドを振りかえることもなく館へと入って行った。勝手の知ったる館だ。
 紅魔事件から半世紀ほども経ったこの日、博麗霊夢は館の主人であるレミリア・スカーレットから招待を受けた。何の要件であるのかは伝えられなかったが、どうせ大した用事でもなかろう。

(前にここへ来てからどれだけたっただろうか。生きているうちに来ることは有るまいと思っていたのだが……。)

凍るほど静かな月明かりの照らす部屋で、招待客を館の主人が迎え出る。霊夢は、先に喋らせるまいと、口早に挨拶を始めた。 
「こんばんは。今を持ってなお夜に君臨する王よ。久方ぶりの招待を感謝します。ぶしつけで申し訳ないのだけれど、本日の要件は何なのかしら?」
一秒でも早くこの館から立ち去りたいといった雰囲気を全開に醸し出している客人を館の主人は懐かしげに見、微笑みを浮かべた。
時の流れから独立したような、孤高の存在。 50年経って猶、館の主人、レミリア・スカーレットは変わらずにいる。
「こんばんは、霊夢。別にこの後他の要件があるというわけでもないのでしょう。なぜそんなに慌てているのかしら? 皆、挨拶なさい。」
 その合図を受け、紅魔館の元メイド長が恭しく一礼した。彼女はその名を十六夜咲夜と言い、この館ではただ一人の『人間』である。霊夢が紅を嫌っている中、咲夜とはある程度懇意にしている。とは言うものの、ここ数年は全く連絡を取っておらず、その期間はお互いの老いを感じるには十分であったようだ。
「こんばんは、霊夢さん。お久しぶりですね。魔理沙さんはいまでも頻繁においでになりますけれども、貴女はめったにいらっしゃらない……。この前お会いしてからもう何年になるでしょうか。」
 久闊を叙するという言葉に相応しい応対をする咲夜の質問である。失礼かとは思ったが、霊夢は敢えて受け流すこととした。
「貴方を見る度にこの館においてなお、時を実感するわ。……永遠に時間の止まった場所、今ここに存在するだけでも生きた心地がしない。もう一線からは退いたと聞いているけれども最近はどうしているのかしら。というか、メイドの職を退く際に、他へ移ろうとは思わなかったの?」
 皮肉に充ち溢れた霊夢の言葉に咲夜は自信を持って答える。
「ええ、まったく思いません。思おうはずも御座いません。一線を退こうとも私は、お嬢様の僕ですから。」
 いつまでペットをやるつもりなのかしら、という霊夢の呆れた声をよそに咲夜は、レミリアへ向けて言葉を続ける。
「そんな矮小な従者の身でありながら、最近は自適な生活を送らせて頂いております。お嬢様、あらためて感謝を。」
「いいのよ、咲夜。貴女は十分私に仕えてくれた。最後の時までこの館で暮らしなさい。ちゃんと看取ってあげるわ。」
再度頭を下げる咲夜の頬を撫でつつレミリアは答えた。幻想郷中に悪魔と恐れられるレミリアが最愛の人間に見せる微笑は、どこまでも優しい。霊夢の失礼に取り合うつもりはないようだった。
 
「お姉様、私にも挨拶をさせて。」
唐突に一人の少女が間に入る。フラン……貴女も変わってないわねという霊夢の呟きをよそに、挨拶を始めたのはレミリアの妹。
「こんばんは、霊夢。あれから人間にとっては久しぶりというくらいの時間は立ったのよね。また来てくれるって言っていたのに、全然遊びに来てくれないんだもの。しょうがないから、この前博麗神社まで行こうとしたらお姉さまに止められてしまったわ。」
その時、大きな被害が出たのだろうか、「紅魔館が半壊しました。」と修復作業を思い出しているかのような陰々とした感じに咲夜が呟いた。

 話は途切れるが、ここで館の主人について紹介をしよう。この幻想郷には二人の吸血鬼が存在しており、一方が前述にもあるように館の主人はレミリア・スカーレットという。もう一人の片割れは、レミリアの妹、フランドール・スカーレット。それぞれが少女のようななりをしているが実際は500歳を優に超えている。紅魔事変以来霊夢はレミリアのことを嫌っている (この表現が正しいのかは判断が難しい) が、他の存在とは仲良くやっているようだ。
さて、この挨拶のあとしばらく雑談が続いたわけであるが、内容は当然のように紅魔事変の思い出話へと移って行った。

回想①(Stage0)
半世紀ほど前、幻想郷には一つの事件と呼ぶべき現象が起きた。幻想郷一帯が紅い霧に覆われたのだ。当初、博麗神社の巫女である博麗霊夢はこの現象を完全に無視する予定であった。(どうせ半端な存在が起こしただけの事件であろうし、それならばすぐにでも解消される)と思っていたのだ。幸いなことに霧が発生している以上の問題は起きていなかった。
 しかし、しばらくたっても解消される様子はない。解決に乗り出す必要を霊夢が感じ始めていた頃に、森に住む魔法使いである霧雨魔理沙が神社を訪れてきた。
「霊夢、居るか。」
「ついこの此間まで毎日のように来ていたのに、最近来なくなったと思ったら……。なにかあったの?」
「なにかあったの、か。霊夢はこの霧についてどう思ってる。」
 普段ならば雑談と称してお茶菓子をたかりに来る少女は、要件から繰り出した。基本的に何事にも動じない魔理沙が霧の事を気に掛けていることに霊夢は驚きの表情を隠せなかった。
「そんなに驚かなくてもいいじゃないか。私だって、幻想郷は平和であってほしいと思ってるよ。それで、どうなんだ?」
「どこかの妖精が遊びで霧を出しているだけじゃないの。すぐにでもなくなるわよ。」
わざわざ神社まで訪ねてきてくれたのではあるが、霊夢はまだ解決に乗り出すかどうかは決めあぐねていた。この現象の原因がただの精霊同士の喧嘩程度のものだった場合、博麗の巫女が手を出すわけにはいかない。
 
「そんじょそこらの妖精が幻想郷全てを覆う霧を出せるとは思えないんだがな。お前がこの前の事件の時に書いた『命名決闘法条文』……スペルカードルールだっけか。早速敵さんが現れたんじゃないか?」
「確かに、スペルカードシステムは妖怪が異変を起こしやすいように考案したものだけど……。まだ本当にそうなのかもわからないし、まだしばらくは様子を見ることにするわ。」
と霊夢は退屈気に会話を放棄した。もちろん魔理沙も絶対的にそうであるとは思っていない。しかし、命名決闘法を創案したのは他でもない博麗霊夢であり、幻想郷の人間、妖怪も引き起こされた異変は当然彼女が解決するものであると考えている。それほどまでに信頼の厚い霊夢が動かないとは思っていなかったらしい魔理沙は業を煮やして部屋を出て行った。
「まったく、せっかちな娘ね……。さて、もしものために私も出立の準備をしておこうかしら。」
魔理沙の催促は結局のところ成功を収めたのである。


幕間②
「初めて魔理沙がここを訪れてきた時はびっくりしたわね。ねぇ、パチェもそう思うでしょう。」
レミリアはちょうど部屋へと入ってきた友人に声をかけた。パチュリー・ノーレッジ。紅魔館の地下にある魔法図書館の住人である。
「この館の主は入ってきたばかりの魔女に、唐突に会話に加われというのかしら。レミィ、久方ぶりなのだから挨拶くらいさせて。……、こんばんは、博麗の巫女さん……ああ、元博麗の巫女だったわね。健在のようでなにより。」
「そうね……、なんとかやってるわ。そういう貴女はあまり血色がすぐれないようだけど、相変わらず本の虫なんでしょうね。いい加減外に出ないと黴が生えるわよ。」
悪びれもせずに霊夢は返す。霊夢がそういう人であることをパチュリーは重々に承知している。
「あら、私の図書館は小悪魔が管理しているから万全よ。どちらかというと博麗神社の賽銭箱が腐っていないかどうかのほうが心配だわ。……、それはそれとして、」
 視線を巫女から紅い吸血鬼へと移す。
「今日はどうして霊夢を呼んだのかしら。」
「なんとなくよ。なんとなく。」
 レミリアは、薄く笑顔を浮かべたままはぐらかす。これだけの時間が空いたのだ。気まぐれということはないだろうが……。タイミングが来るまで話す気はないのだろうか。
ともあれ、彼女らの話は再び紅魔事変へと戻って行った。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

東方紅魔郷SS 更新1

某所での更新をしていなかった割に東方紅魔郷SSを先に書き上げてしまったので、こちらでアップしていきます。

内容としては、東方紅魔郷をそのまま小説に妄想しなおしてみた、みたいな感じでしょうか。
一応紅魔郷を知らない人でも分かるように書いているような…?

毎週~隔週でまったり更新していきます。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

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