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東方紅魔郷SS 更新8

回想⑦(StageEX)
 幾許か後、霊夢は意識を取り戻した。あたりを見回したが闇があるばかりで何があるかも、ここがどこであるかもわからない。
「いたたた…。ったくもう、どうなってるのよ…」
 悪態をつくが何も返事は返ってこない。ズキズキ痛む後頭部を抑えながら、手探りで埃にまみれた通路を進んでいくと、遠くから微かな歌声が響いてきた。
「…聞いたことある曲ね…何だったかしら。昔、魔理沙が歌っていたような気がするけれど…。」
 歌声の主を頼りに進んでいくと、大きなホールへとたどり着いた。相変わらず明りはなく、月光が唯一の光源となっていた。ホール奥の祭壇に座る少女の影。
 霊夢の登場に気づくと声の主は歌をやめ、視線を現れた少女へと定める。
「貴方が、お姉様の言っていた人ね。霊夢…だったかしら。」
幼さの残る、というより幼い少女の声。しかし、こんなところにいるからにはただの人間ということもあるまい。
「その通りよ。私は、博麗霊夢。こんばんは、で、あっているのかしら。…どうも気絶していたようだから時間がよくわからないのよね。今何時なの?というよりここはどこなのよ。」
「私が起きているから、きっと夜よ、今は。」
 その言葉によって霊夢は目の前にいる少女が何であるのかを理解するにいたった。
「貴方が、紅魔館のご主人というわけ?」
 そんな確信とは異なり、少女は頭を振った。館の主人以外に吸血鬼がいるという話は聞いたことがない。場所は未だに不明だが、先の魔女の視線を考えると図書館の奥なのだろうか。紅魔館の中なら問題ない。さて…
「さっき、お姉様といっていたようだけど。それじゃ、貴女は屋敷の主人の妹さんなの?」
 祭壇に座っていた少女は、スタッと立ち上がりお辞儀をした。動きはたどたどしいが、その雰囲気は良家のそれ、である。
「私はスカーレット家次女のフランドール。フランドール・スカーレットよ。貴方のことは、お姉さまからは壊れにくいから全力で遊んでもいいっていわれているけれども、それで大丈夫なのよね。」
 興味深々に霊夢を観察するその視線が霊夢には不快だったようで、挨拶代わりにフランへと弾を撃ち込んだ。フランは片手でそれを受け止める。ダメージを負った様子は一切ない。
「ふーん、それが今日の遊び方?なんていうの?もしかしてそれがお姉さまの言っていた遊び方なの?」
 相変わらず質問を繰り返すが、霊夢は答えない。
 よーし、試してみようっとという気軽そうな声とともに、霊夢の周囲に弾幕が表れる。

禁忌「クランベリートラップ」

なんとなく出したという感じの弾幕で、弾の速度はそんなに速くはないがそれでも全方位より表れる弾幕はフランドールの力の現れであろう。
「博麗さん、これでいいのかしら?」
 と、無邪気に話しかけている。はじめこそ霊夢は必死によけていたが、その弾幕パターンにようやく慣れてきたのか、「そうそう。そんな感じ」という余裕が生まれ始めていた。
「あれれ?お姉さん、飽きてきちゃった?次の遊びする?」

(結局この娘は遊びたいだけなのね…さて、どうしたものか)
このときも霊夢は迷っていた。


―――紅魔館地上階にて

咲夜とレミリアは地下から響いてくる爆音を聞いていた。レミリアは落ち着いているが、落ち着かないメイドである。
「お嬢様、よろしかったのですか。妹様は力はあるとはいえ、その力を制御できません。ですから…」
「いいのよ。あの子が遊びたいって言ったんですもの。遊び相手を連れてくるもの、わがままを、…たまには…叶えてやるのも姉の役目よ。」
 そういわれてしまっては、咲夜の返答はひとつしかない。
「御意のままに。」
で、ある。


―――紅魔館某所 

霊夢は焦っていた。相手は遊んでいるつもりのようであったが、その魔力は膨大であり、一つ一つのスペルカードをよけきるのが精一杯。反撃の余地などない状態であったのだ。そうなるど、相手を満足させるしか選択肢はない。はてさて、いつスペカは尽きるのか。

「悪魔の妹よ、お前は私と遊びたいと言ったが、どんな遊びを用意したのよ。」
「うーんとね、全部で10種類かな。貴女はあんまり用意していないの?」
霊夢は、曖昧に返事をしながら考える。勿論霊夢もスペル発動の準備はしているが、どうにもスペル宣言のタイミングがつかめない。そしてまた一つスペルブレイクを迎えた。
「今のはね、「カゴメカゴメ」っていうの。外の世界の人たちが歌ってる歌なんだってパチュリーが言っていたわ。」
外の世界。もちろん存在自体は霊夢は十分に知っている。とはいっても博麗大結界の外側の世界がどうなっているかは博麗の巫女とはいえ、知識以上の事を知りえなかった。
「へぇ、こんな所にまでに『外の世界』の知識が流れているとはね、驚きだわ。貴女は外の世界を見たことがあるの?」
「ううん。私はずっとこの屋敷の中。お姉さまと、パチュリーと、咲夜にしか会わない世界。…、でもね。最近”トモダチ”っていうのができたの。魔理沙っていうんだけどね。すっごく強いんだよ。」
同時にフランドールの周囲に無数の弾幕が出現する。複雑な文様を描きながら霊夢に迫ってきた。
「禁忌「恋の迷路」 、私は魔理沙みたいなまっすぐな気持ちは持っていないけど。そんなものはとうに失くしてしまったけど、きっと焦がれる気持ちってこういうものじゃない?」
 フランドールの放つ『恋』は、それまでのスペルと違って非常に緻密であった。ただ、魔理沙の真似をしているだけでないことは十分に分かる。なぜ、こんな気持ちを持っているのだろう。その心理を悟ったのか、フランドールは続ける。
「当然よ。お姉さまに400年近くも会えなかったのだから。…、そうよ。魔理沙がお姉様を連れてきてくれたの。会いたい、会いたい。会いたい、会いたい。その気持ちは、よく知ってる。心が壊れてしまうくらいにね。きゃは、次の遊び、行くよっ」

 そのスペルカードを境に、フランドールの放つスペルは複雑なものへと変化していった。併せて、少しずつ会話が通じなくなったのだった。その現象が最高潮に達したのは9枚目のスペルカードでのことだった。
 フロアを甲高い笑い声が占めた。一つや二つではない。無数の甲高いだけの不快な笑いが響き渡ったのだ。霊夢が意識を集中すると、いくつかの意識を読み取ることができた。(試しに、「あんたはどうしたいのよ」と叫んでみたが無駄であった。)

「もっと遊ぼうよ。」「でも、遊び終わったらお姉さんここから帰っちゃうんじゃないの。」「だったら、ここから出さなきゃいいんだよ。」「そうね、閉じ込めちゃえばいいんだ」「きゃはははは、とじこめる。」「ずっとずーっとおりのなか。」「そうすれば、ずっと遊べるね。きゃは…」
 それ以降は、笑い声だけになってしまった。つまるところ、「一人は寂しい」が暴走しているだけだろう。さっき見た「恋の迷路」よりよっぽどたちが悪い。霊夢は、迫りくる弾幕の数々を用意したスペルで片っ端から消し去る。
あたかも、その誘いを拒絶するように
まるで、その願いを打ち砕くように
さも、フランドールが退屈だというように
ただ、拒み続けた。

そしてそれは、フランドールには存在の否定のように映った。

唐突に笑い声がやむ。空間を完全に埋め尽くそうとしていた弾幕は消滅し、姿をくらましていたフランドールが現れた。その顔には表情がない。
「…、そっか。お姉さんでもだめなんだ。私とは遊んでくれないのね。キライ、嫌い、大っキライ」

QED「495年の波紋」

空間が震え、至る所から弾幕が生じる。波のように伝わる弾幕は幾重にも重なり、霊夢のいる場所では回避不能な状態となっていた。しかし、そこは博麗の巫女である。見事なまでの動きでスレスレに弾幕をよける。彼女は理解していた。
「このスペル、フランドールに気持ち ( 言葉 ) が”辿り着けば”勝ち、ね。」
いかな霊夢とて、完璧によけきれるわけではないクラスの弾幕。それでもフランドールを目指す。
しかし、どうして霊夢はフランドールを助けようと思ったのだろうか。彼女には、このまま放っておけばフランドールは発狂し、最後には意識を失うという確信があったが、それでもフランドールに声をかけることを選択したのだ。
果たして、霊夢は優しいのであろうか。本人はおそらく否定するだろう。「私が、優しい?そんなわけないじゃない。」と。

「ったくもう、痛いじゃない。」
フランドールの目の前まで、霊夢が言う。
「わがままな娘だと魔理沙に嫌われるわよ。ほら、いい子だから…」


「そんなことで嫌う私じゃないぜ。」
魔理沙は、唐突に表れる。それはいつもの事であったし、それにツッコミを入れるのは霊夢の仕事であると彼女は信じていた。だから、霊夢が喋るより先に、フランドールが魔理沙に飛びついていたことは少なからず衝撃的であった。
「まりさだーーー♪」
その魔理沙の隣には、霊夢の知った顔があった。紅魔館のメイド長、十六夜咲夜である。
「博麗霊夢様、先ほどは大変失礼いたしました。お嬢様がお会いになるそうです。」

「お姉様が博麗の巫女さんに会うの?霊夢、死んじゃうの?きっと、死んじゃうよ。」
魔理沙にじゃれつきながらも、フランが心配(?) する。だが霊夢にとってはそれこそが、今回の目的であった。
「フランドール。私は大丈夫よ。…、魔理沙、フランドールの事は任せたわ。」
言われなくとも、といった表情で魔理沙がうなずく。

「メイド長、案内なさい。」


幕間⑦
 
「そういえば、この時点で貴方は『どうして妹の部屋で起きたのか』というより、『どうして貴方は気絶したのか』ということが分かっていたの?」
 レミリアが霊夢に問いかける。
「おぼろげながらには推測はしていた。勿論時間を止めるなんてことが可能な人間がいるとも思えなかったし、油断をした瞬間に不意打ちを食らったと考える方がよっぽど自然だったから、信じてはいなかったけどね。そういえば、結局はじめの戦闘の時にどうして月時計を使って時間を止めなかったのよ。一撃目に使われては、いかな私とて撃墜されていただろうに。」
 咲夜は、それに応えようとしたがレミリアはそれを手で制する。話されたくないようだ。霊夢にしても、ふとした疑問なだけであったようでそれ以上突っ込むことはしなかった。妹想いであることをいかにどれだけ知られていようとも外部にはひた隠しにしようとするレミリアである。

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