FC2ブログ

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

東方紅魔郷SS 更新2

東方紅魔郷
Side Story


幕間①
「博麗霊夢様。吾等が紅魔館へようこそおいで下さいました。」
 霊夢と呼ばれた女性は仰々しく迎え出たメイドを振りかえることもなく館へと入って行った。勝手の知ったる館だ。
 紅魔事件から半世紀ほども経ったこの日、博麗霊夢は館の主人であるレミリア・スカーレットから招待を受けた。何の要件であるのかは伝えられなかったが、どうせ大した用事でもなかろう。

(前にここへ来てからどれだけたっただろうか。生きているうちに来ることは有るまいと思っていたのだが……。)

凍るほど静かな月明かりの照らす部屋で、招待客を館の主人が迎え出る。霊夢は、先に喋らせるまいと、口早に挨拶を始めた。 
「こんばんは。今を持ってなお夜に君臨する王よ。久方ぶりの招待を感謝します。ぶしつけで申し訳ないのだけれど、本日の要件は何なのかしら?」
一秒でも早くこの館から立ち去りたいといった雰囲気を全開に醸し出している客人を館の主人は懐かしげに見、微笑みを浮かべた。
時の流れから独立したような、孤高の存在。 50年経って猶、館の主人、レミリア・スカーレットは変わらずにいる。
「こんばんは、霊夢。別にこの後他の要件があるというわけでもないのでしょう。なぜそんなに慌てているのかしら? 皆、挨拶なさい。」
 その合図を受け、紅魔館の元メイド長が恭しく一礼した。彼女はその名を十六夜咲夜と言い、この館ではただ一人の『人間』である。霊夢が紅を嫌っている中、咲夜とはある程度懇意にしている。とは言うものの、ここ数年は全く連絡を取っておらず、その期間はお互いの老いを感じるには十分であったようだ。
「こんばんは、霊夢さん。お久しぶりですね。魔理沙さんはいまでも頻繁においでになりますけれども、貴女はめったにいらっしゃらない……。この前お会いしてからもう何年になるでしょうか。」
 久闊を叙するという言葉に相応しい応対をする咲夜の質問である。失礼かとは思ったが、霊夢は敢えて受け流すこととした。
「貴方を見る度にこの館においてなお、時を実感するわ。……永遠に時間の止まった場所、今ここに存在するだけでも生きた心地がしない。もう一線からは退いたと聞いているけれども最近はどうしているのかしら。というか、メイドの職を退く際に、他へ移ろうとは思わなかったの?」
 皮肉に充ち溢れた霊夢の言葉に咲夜は自信を持って答える。
「ええ、まったく思いません。思おうはずも御座いません。一線を退こうとも私は、お嬢様の僕ですから。」
 いつまでペットをやるつもりなのかしら、という霊夢の呆れた声をよそに咲夜は、レミリアへ向けて言葉を続ける。
「そんな矮小な従者の身でありながら、最近は自適な生活を送らせて頂いております。お嬢様、あらためて感謝を。」
「いいのよ、咲夜。貴女は十分私に仕えてくれた。最後の時までこの館で暮らしなさい。ちゃんと看取ってあげるわ。」
再度頭を下げる咲夜の頬を撫でつつレミリアは答えた。幻想郷中に悪魔と恐れられるレミリアが最愛の人間に見せる微笑は、どこまでも優しい。霊夢の失礼に取り合うつもりはないようだった。
 
「お姉様、私にも挨拶をさせて。」
唐突に一人の少女が間に入る。フラン……貴女も変わってないわねという霊夢の呟きをよそに、挨拶を始めたのはレミリアの妹。
「こんばんは、霊夢。あれから人間にとっては久しぶりというくらいの時間は立ったのよね。また来てくれるって言っていたのに、全然遊びに来てくれないんだもの。しょうがないから、この前博麗神社まで行こうとしたらお姉さまに止められてしまったわ。」
その時、大きな被害が出たのだろうか、「紅魔館が半壊しました。」と修復作業を思い出しているかのような陰々とした感じに咲夜が呟いた。

 話は途切れるが、ここで館の主人について紹介をしよう。この幻想郷には二人の吸血鬼が存在しており、一方が前述にもあるように館の主人はレミリア・スカーレットという。もう一人の片割れは、レミリアの妹、フランドール・スカーレット。それぞれが少女のようななりをしているが実際は500歳を優に超えている。紅魔事変以来霊夢はレミリアのことを嫌っている (この表現が正しいのかは判断が難しい) が、他の存在とは仲良くやっているようだ。
さて、この挨拶のあとしばらく雑談が続いたわけであるが、内容は当然のように紅魔事変の思い出話へと移って行った。

回想①(Stage0)
半世紀ほど前、幻想郷には一つの事件と呼ぶべき現象が起きた。幻想郷一帯が紅い霧に覆われたのだ。当初、博麗神社の巫女である博麗霊夢はこの現象を完全に無視する予定であった。(どうせ半端な存在が起こしただけの事件であろうし、それならばすぐにでも解消される)と思っていたのだ。幸いなことに霧が発生している以上の問題は起きていなかった。
 しかし、しばらくたっても解消される様子はない。解決に乗り出す必要を霊夢が感じ始めていた頃に、森に住む魔法使いである霧雨魔理沙が神社を訪れてきた。
「霊夢、居るか。」
「ついこの此間まで毎日のように来ていたのに、最近来なくなったと思ったら……。なにかあったの?」
「なにかあったの、か。霊夢はこの霧についてどう思ってる。」
 普段ならば雑談と称してお茶菓子をたかりに来る少女は、要件から繰り出した。基本的に何事にも動じない魔理沙が霧の事を気に掛けていることに霊夢は驚きの表情を隠せなかった。
「そんなに驚かなくてもいいじゃないか。私だって、幻想郷は平和であってほしいと思ってるよ。それで、どうなんだ?」
「どこかの妖精が遊びで霧を出しているだけじゃないの。すぐにでもなくなるわよ。」
わざわざ神社まで訪ねてきてくれたのではあるが、霊夢はまだ解決に乗り出すかどうかは決めあぐねていた。この現象の原因がただの精霊同士の喧嘩程度のものだった場合、博麗の巫女が手を出すわけにはいかない。
 
「そんじょそこらの妖精が幻想郷全てを覆う霧を出せるとは思えないんだがな。お前がこの前の事件の時に書いた『命名決闘法条文』……スペルカードルールだっけか。早速敵さんが現れたんじゃないか?」
「確かに、スペルカードシステムは妖怪が異変を起こしやすいように考案したものだけど……。まだ本当にそうなのかもわからないし、まだしばらくは様子を見ることにするわ。」
と霊夢は退屈気に会話を放棄した。もちろん魔理沙も絶対的にそうであるとは思っていない。しかし、命名決闘法を創案したのは他でもない博麗霊夢であり、幻想郷の人間、妖怪も引き起こされた異変は当然彼女が解決するものであると考えている。それほどまでに信頼の厚い霊夢が動かないとは思っていなかったらしい魔理沙は業を煮やして部屋を出て行った。
「まったく、せっかちな娘ね……。さて、もしものために私も出立の準備をしておこうかしら。」
魔理沙の催促は結局のところ成功を収めたのである。


幕間②
「初めて魔理沙がここを訪れてきた時はびっくりしたわね。ねぇ、パチェもそう思うでしょう。」
レミリアはちょうど部屋へと入ってきた友人に声をかけた。パチュリー・ノーレッジ。紅魔館の地下にある魔法図書館の住人である。
「この館の主は入ってきたばかりの魔女に、唐突に会話に加われというのかしら。レミィ、久方ぶりなのだから挨拶くらいさせて。……、こんばんは、博麗の巫女さん……ああ、元博麗の巫女だったわね。健在のようでなにより。」
「そうね……、なんとかやってるわ。そういう貴女はあまり血色がすぐれないようだけど、相変わらず本の虫なんでしょうね。いい加減外に出ないと黴が生えるわよ。」
悪びれもせずに霊夢は返す。霊夢がそういう人であることをパチュリーは重々に承知している。
「あら、私の図書館は小悪魔が管理しているから万全よ。どちらかというと博麗神社の賽銭箱が腐っていないかどうかのほうが心配だわ。……、それはそれとして、」
 視線を巫女から紅い吸血鬼へと移す。
「今日はどうして霊夢を呼んだのかしら。」
「なんとなくよ。なんとなく。」
 レミリアは、薄く笑顔を浮かべたままはぐらかす。これだけの時間が空いたのだ。気まぐれということはないだろうが……。タイミングが来るまで話す気はないのだろうか。
ともあれ、彼女らの話は再び紅魔事変へと戻って行った。

テーマ : 二次創作:小説
ジャンル : 小説・文学

コメント

Secret

プロフィール

snpkn

Author:snpkn
FC2ブログへようこそ!

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。