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東方紅魔郷SS 更新9

回想⑧(Stage6)
 咲夜の案内の元案内されたのは意外にもレミリアの執務室ではなかった。階段を上り続け、ついには屋上へと歩を進めた。

「お嬢様、お連れ致しました。」
咲夜は畏まる。レミリアは手で咲夜に退席を要求した。
その瞬間、咲夜の姿は消えさり、静寂が後に残った。レミリアがその均衡を穿つ。
「よい月ね、霊夢。」
「ええ、そうね。雲一つない素敵な…」
 そう。霊夢が見たのは月に何も、紅い霧すらもかかっていない極上の星空であったのだ。レミリアが、ニヤニヤとした笑いを浮かべながら続ける。
「ところで、博麗の巫女さんは、どのような表向きで今日おいでなさったのかしら? まさか、理由もなくこの紅魔館へ喧嘩を売りに来たというわけではないわよね。…、ああ、あの紅い霧?あれならさっき消えちゃったわよ。何だったのかしらねぇ、あれ。」
 
とどのつまり、スカーレット姉妹に遊ばれたのだということを霊夢は理解した。妹の方はまだましであるかもしれない。彼女は本当に霊夢と遊ぼうと思っただけだろう。しかし、姉の方は違う。霊夢で遊ぶためにここまで大がかりな異変を起こしたのだ。
霊夢は基本的には温厚な性格であることは自他共にみとめるところであろう。勿論年頃の少女らしく怒ることもあるけれど、本気で怒りにうち震えると言うことはほとんどなかったのだが。
「…、無題「空を飛ぶ不思議な巫女」」

 霊夢を中心として幾種もの弾幕が出現する。だが、ブレイクの難しい高位のスペルであるにもかかわらずレミリアは易々と切り抜ける。その後も霊夢は用意しておいたスペルを次々と放つが、やはり悠々とかわされてしまった。博麗の巫女、その程度なの?とばかりに悠然と立つレミリア。これも遊びたとばかりに、軽いモーションで通常攻撃を放つ。
 霊夢には世界そのものが紅く染まったかの様に見えたことだろう。宣言から実際にスペルが発動するまでの間がこれまでに戦った敵とは明らかに短かったのだ。宣言とほぼ同時に囲まれていたといっても過言ではない。レミリアの弾幕はフランドールの弾幕と比べると非常にシンプルである。紅い暴力、そのもの。
 霊夢は始めの数波までは運よくよけきったものの、数発の直撃を受け撃墜された。致命傷ではないが、次以降の行動が制限されるには十分なダメージである。
「あら、もう終わり。」
 つまらなそうな声が響く。前評判をもって期待していただけに、そして妹を撃破したという事実を胸に、全力で遊べると思っていたのだが、そうではなかったのだろうか。そもそもレミリアも幻想郷に来て以来咲夜以外の人間を(人間の形として)見たのは2人目のことである。一人目はいうまでもなく霧雨魔理沙。魔理沙本人のいうほど一方的な戦いではなく、特に 恋符「マスタースパーク」の出力はレミリアをもってしても「欲しい」と思わせるようなできであった。最終的に打ち破れたのはスペルカードの枚数が要因となっていたのは否定しがたい事実である。その魔理沙が、「霊夢ならもっと楽しめると思うがな」と言ったのだから。
「もっと楽しませて頂戴。」
 と彼女が言いたくなるのも最もな話である。

 負傷した脚を抑えながら霊夢は立ちがあがる。笑顔だ。
「あいたたた。…よっと。私としたことが…礼を欠いていたわね。まったく、私がスペカルールをミスってどうするのよ…しかも戦う相手に名乗ってすらいないとは…では、あらためて。」
 一呼吸置く。レミリアは動こうとしない。
「突然の来訪失礼。私は博麗霊夢。幻想郷の安寧を司るものなり。昨今、幻想郷を覆う紅い霧が発生するという異変が確認され、原因を調査したところ紅魔館が当主、レミリア・スカーレットがその発端であるということが判明した。現状を鑑みるにその異変は解決したと言わざるを得ない。ただ、元凶を成敗する必要は有ると信じている。」
 レミリアの表情が変わる。
「さっきは先に打たれてしまったから、今度は私から行かせてもらうわ。”ちゃんと避けなさい” 、紅符『スカーレットマイスタ』!!!」
 それまでに放たれた攻撃よりも厚い弾幕の波が霊夢に襲いかかる。しかしそれは霊夢が理想とした「美しき弾幕」そのものの姿であった。

 この時点で、霊夢は先ほどの怒りがなかったかのように冷静になっていた。先ほど被弾した部分をかばいながらの戦いとはなるが、それでも彼女の力はレミリアの放つスペルを回避するのには十分。次々に放たれるスペルを楽しんでいたといっても過言ではない。逆に、レミリアにしてみればその状況が面白いはずもなく、次第に苛立ちを覚えていった。
そして、さも順当であるかのようにレミリアのスペルカードがタネ切れをおこした。

霊夢は、
彼女の勝利を、宣告する。
「紅き吸血鬼、スペルカードが切れたと見える。魅力的な弾幕をもっと見たかったのだけれど、それももう終わりね。敗北を宣言なさい。それをもってこの事件は解決を迎える。」
 
「幻想郷最強は、博麗霊夢、お前なのか。」
 突然レミリアは問いかける。まさか、疑問を投げかけられるとは思っていなかった霊夢は少々驚きつつも、そしてその質問の意図を訝しみつつも、答える。
「おそらく何の制限もかけなかったたら違うでしょうね。いくら博麗の巫女とはいっても『最強』は無理よ。でも…」
「しかし少なくとも、お前はこれまでに異変を起こした全ての存在よりも強かったと。」
「そのとおりよ。」
「私よりも強かったと、」
「私が勝利し、お前が敗北した。」
 一言一言にレミリアの殺気が膨らんでいく。しかし、霊夢は気にも留めない。もしレミリアがどんな弾幕を放とうと、冷静なときの彼女に避けることのできない弾幕は存在しないと、そう信じきっている。そして、霊夢は自分が今非常に冷静であることを自覚していたのだ。そして、可能な限りレミリアのプライドを崩そうとしていた。勿論それは以降異変を起こさせないようにするために、博麗の巫女として当然の措置だ。そういう意味では、霊夢はレミリアの力量を測り損ねていたといわざるを得ない。


「…彬符「悠久なる紅への収束」。」
 レミリアは静かにスペル宣言を行った。怒りに任せた切り札たるスペルは、対人間用の技ではない。相手を確実に殺すことだけを考えた攻撃。刹那もしないうちに、霊夢が弾幕を認識した時点で被弾は決定的なものとなっていた。
弾幕勝負とは思えないほどの爆発音とともに、霊夢の姿がレミリアの視界から消えた。

 
「咲夜…、いつから貴女は私の敵になったのかしら。貴女は、私の僕だと思っていたのだけれど。」
 しばらくして爆発煙が消えた後。レミリアの目には、従者・十六夜咲夜と、博麗の巫女、二人の姿が映っていた。咲夜は被弾の瞬間、時間を止めて霊夢を助けたのだろう。
「恐れながら…、お嬢様。目的をお忘れではありませんでしょうか。」
 珍しくも咲夜が、たしなめる。これ自体が非常に珍しい光景であり、当のレミリアにしても最初意味を解するまでに時間を要した。これまでに『咲夜が自分に意見する』ことはあったが、事実上『咲夜に止められた』という事実は、如何ともしがたく衝撃的であったのだ。
 数秒の静寂の後、ふっ、とレミリアの気配が変化した。
「パチェも同じこと言いそうね…。…わかったわ。咲夜、貴女の諫言受け入れましょう。」
 レミリアは咲夜に抱きかかえられている霊夢に向かう。
「博例の巫女、霊夢。明らかに貴女を殺すのは簡単でしょうけれど、ルールに従って異変を起こした以上、負けを認めましょう。…これでよろしくて?」
 レミリアは頭を下げなかった。
霊夢は、咲夜から離れ、苦々しげな表情で対峙する。
「結構。不愉快な結末であるけれど、犯人が負けを認めてしまった以上解決を宣言せざるを得ない。個人的には……非常に不愉快だけれども。」
 こうして、若干一名の煮え切らなさを残しつつも紅魔事変は解決を迎えた。


回想⑨
そして数日後の博麗神社。魔理沙と霊夢は、今回の事件を肴に飲み明かしていた。
「結局なんだったのかしら、今回の事件は。」
 結末が、満足のいく形ではなかったこともあって霊夢はここ数日テンションの低さが目立っている。
「さてな。…まぁなんだ、お前の書いていたみたいに”遊びで異変を起こした”ってことで納得すればいいじゃないか。」
 霊夢もそういう意味では理解している。納得はできているのだが、いたるところが気に入らないのだった。わざわざ霊夢を敵に回したのに紅魔館の戦力が総がかりでなかったこと、咲夜に撃墜されたにもかかわらずコンティニューが認められていたこと、いやにあっさりとレミリアが引いたこと…数え上げたらきりがなかった。
「なんか、こう…目的をぼやかそうとしている感じがするのよ。だから事件の全容がはっきりしない…。そういえばこの間、事件起こした理由を知ってるって言ってなかった?」
 このコメントに、魔理沙はあえてとぼける。
「確かに言ったよ。結局レミリアに直接聞かなかったんだな。ならヒントだ。…今回の事件、私が残っていたこと自体が異様なんだ。」
「どういうこと?」
 霊夢には新事実だ。
「いやな、あの時図書館ではあんな風に言ったけど、実際は咲夜に残るように頼まれたんだよ。近々霊夢が来るだろうからそれまでは残ってくれってな。」
 つまりは魔理沙は役者として必要だったということで、
「あの事件で私がしたことといえば、霊夢を図書館に案内したくらいだろ。あれって何か意味があるのか?」
「…もう一つあったわ。フランドールを抑える役。」
 あえて外していたがしっかりとデバッグされてしまった。さすがは霊夢、大切なところは外さない。
魔理沙は思い返す。もともと、最初に紅魔館に侵入した時なぜか懐かれてしまっただけだ。まぁ魔理沙が勝ってしまったのが良くなかったのだろう。
「そもそも、『あの時点で』やめておけばよかったんだよ。レミリアのやつ、「もう一人位いいじゃない。」だなんて。」
 独り言のような呟きをもって霊夢は、レミリアの目的を理解した。
「なるほど、フランドールが主役だったのね。」
「…さすが霊夢。まぁ…気づくか。」
 せっかくなら確りと解決したいという霊夢の意見を尊重し、二人は紅魔館へと向かった。ちょうど夜だ。話も聞けるだろう。


「ようこそおいでくださいました。…おいでになるかどうかは微妙だったのですけれど…」
 咲夜は、紅魔館の玄関で二人を出迎えた。魔理沙は少しバツが悪そうにしている。
「すまないな、咲夜。言う気はなかったんだが、霊夢の不機嫌が直らなくてな…。」
 構いません、といって二人をリビングへと案内する。リビングには、レミリア、フランドールの両名が待っていた。
「こんばんは、霊夢。」
 レミリアの慇懃な笑顔は変わりない。今日霊夢たちが来ることを知っていたようだ。実際に知っていたのかもしれない。
「どうしてきたのか知っているのでしょう?」
「勿論よ。貴女と私はすれ違う運命。これは如何ともしがたい事実。変えてしまってもいいのでしょうけれど…でも貴方とはきっとこのままの方がいいわ。」
 霊夢には何の話であるかがわからない。疑問よりも苛立ちが勝る。このあたりは霊夢らしいというほかない。
「貴女の後ろにいる娘。まさかあんたみたいな存在がいるとは思わなかったわ。…貴方が創ろうとしたのは、妹の友人かしら、それとも…贄?」
 ストレートな疑問。これこそが紅魔事変の解答として霊夢がたどり着いたところであった。レミリアは、はぐらかそうとも考えたが、それでは事件を起こしたことが無為にしまってしまう。結局、素直に答えることにした。
「友人よ。正確には…きっかけね。本当に思ったとおりに動いてくれた…霊夢、魔理沙礼を言うわ。貴女達のおかげでこの子と和解ができた。感謝してもし足りない。」
 フランドールは、何も言わない。咲夜も、何も言わなかった。


霊夢は、きびすを返しドアへと向かった。
「魔理沙、帰るわよ。」
 どうしたものかと魔理沙は珍しく迷う。しかし、結局的にこれはレミリアと霊夢の問題だと判断した。すまなかったな、とレミリア、咲夜に声をかけ、霊夢に追随した。

 
「レミリア。貴女の願い聞き届けてやってもいい。フランドールが寂しそうになったら咲夜にでも連絡させなさい。妹を想う心、私も嫌いではない。しかし、幻想郷の管理者、博麗の巫女としては、お前のことが大嫌いだ。」
 霊夢はポツリと言葉を漏らし、去っていった。対照的に、魔理沙は、レミリア,フランドールの方を一度向き、再び別れを告げた。
「私は、お前みたいなの好きだぜ。フラン、また遊びに来るからな。レミリア、霊夢は…あんなこといってるけどお前のこと、嫌ってはいないな。巫女らしくしただけだ…、勘違いしないでやってくれ。」
「勿論よ。」
 ドアの閉まる音が紅魔館に鳴り響く。


こうして、幻想郷全体を巻き込んだ後に紅魔事変と呼ばれる事件は終結したのだった。

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