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東方紅魔郷SS 更新6

回想⑤(Stage4)
 紅魔館の中に入った霊夢は迷っていた。いや、気持ちがではない。道に迷っていたのだ。
「格好つけて中に入ったのはいいけど…。だだっ広い屋敷ね。中の構造がどうなっているか全くわからないわ。」
差しあたって近場のドアから順番に中を確認していた。しかし、霊夢は基本的に気が短い。いらだった彼女はいつの間にか、ドアを破壊しながらその作業を進めていた。
 そんなことをしばらくしていたのだが、めぼしいものは見つからない。「どうなってるのよ!」と叫びかかったところに、聞きなれた声がかけられた。
「おや、霊夢じゃないか。お前の趣味はドアを壊して回ることだったのか?」
ここで魔理沙に会うとは思っていなかった霊夢は一瞬停止してしまった。しかし、すぐに状況を把握したのか、
「……。魔理沙!!! どうしてこんな処にいるのよ。というか連絡もなしに何をしていたのよ!!!」
 と一言。だが魔理沙は霊夢の怒りもどこ吹く風、
「わるいわるい。楽しい部屋を見つけてな。どうだ、せっかくだから霊夢も見てみないか。」
 言うなり魔理沙は地下へと向かっていった。「全く、相変わらず人のことなんてお構いなしなんだから……」と言いながらも、霊夢は魔理沙の後を追う。かなりの距離を歩いた後、二人は地下の図書館へとたどり着いた。
紅魔館地下にある魔法図書館。毎日のように膨大な書物が収められていくこの図書館は一人の管理者と一人の司書がいるだけだ。魔理沙と霊夢の二人が入った時には管理者たるパチュリー・ノーレッジが読書を続けていた。
「パチュリー、お客を連れてきたぜ。」
 パチュリーはその声を合図に、わずかに本から目線を上げ、霊夢のほうを一瞥した後に魔理沙へと目を向ける。
「相変わらず唐突ね。しかも目下のところ、紅魔館の敵を連れてくるだなんて……。」
「おおそうか、霊夢は敵だったのか。そりゃぁ悪いことをしたなぁ。」と魔理沙。悪かったというそぶりは全く見せない。
「別にいいわよ。私の敵じゃないし。」
目線だけで霊夢を向く。
「博麗の巫女さん。私の自慢の図書館へようこそ。私はパチュリー・ノーレッジ、魔女よ。」
あいさつとも自己紹介ともとれる一言を終えると、これで十分とばかりに本へと視線を戻した。霊夢にしたところでこの魔女に用件があるというわけでもない。仕方がないので、「まぁこんなやつなんだよ」と言わんばかりに肩をすくめる魔理沙へと質問をすることにした。
「さて、今度こそ話してもらうわ。この一週間何をしていたのかしら?貴方が連絡をしてこないものだから結局私が出張る羽目になったじゃない。」
 霊夢は少し怒り気味なようで、少し嫌味が混ざっていた。
「いや、お前に連絡してもよかったんだな。まぁ、ここに来てからの話くらいはしておくか。あの時神社を出発してからしばらくの間は町でこの館の情報について聞いて回っていたんだ。で、やはり紅魔館が元凶だという結論に至ってな。湖にいたよくわからん奴を倒したりして、紅魔館へと着いたわけだ。そしたらレミリアのやつが遊びたいっていうからちょいと遊んだりしてだな。いやまぁぼこぼこにされただけなんだが。で、今回事件を起こした理由を聞いてだな、私は納得した。」
 「それで?」と、霊夢。まだ話は続くようだ。
「そんなわけで暇になったから屋敷の中をぶらぶらしてたらこの図書館を見つけたんだ。すごいぜ、この図書館。今まで資料不足で進まなかった研究がびっくりする位進むんだよ。研究者にとっては天国みたいな環境だな。まぁ、霊夢は研究なんてしないから分かんないだろうけど。うーん?レミリアがどうして事件を起こしたのか話せって顔をしているなぁ。……残念ながら私からは話せない。一応これでも筋は通すたちだからな。聞きたいんだったらレミリアの奴に直接聞いてくれ。」
 言い訳のように、弾幕のように全開で話をする魔理沙とは対照的に霊夢は落ち着いて答える。
「私に連絡をよこさなかった理由は。」
「ただ単純に興味だよ。お前とレミリアとのスペルカード勝負を見てみたかっただけだ。私は、まぁボコボコにされてあまりスペルカードを見ることができなかったからな。」
 やはり心配なんてするべきじゃなかった、と後悔する霊夢であった。
「はぁ……。そんなところだろうとは思ったけどね。魔理沙がそうそうの妖怪に負けるとは思えないし。あらっ、ぼっこぼっこにやられたんでしたっけ?ふふふ。でも、それならどうして図書館の外で出会ったのかしら。この魔女と一緒に図書館の虫をやっていたのではないの?」
「ああ、確かにさっきまで図書館にこもっていたんだけどな。なんかレミリアと咲夜……、ああ、お前は知らないのか。咲夜ってのはメイド長をしてるやつだ。ちなみに人間な。……、その二人がやってきたんだよ。それで追い出された。ちなみにこの前、咲夜とも一度戦ったんだが、なかなかたちの悪いやつだぞ、あいつ。どうせお前も戦うことになるんだから、気をつけた方がいい。なぁパチュリー、あの二人は何しに来たんだ。」
「レミィが読みたい本があるとか言っていたような気がするわ。咲夜はその付き添い。」
 パチュリーは意識して目線を本からそらさずに答える。霊夢はそれに気づいたが、気にしていることをパチュリーに悟られるのはよくないと感じ、話題を戻すこととした。
「その咲夜ってやつの何がたちが悪いのかは…、貴方の事だから言わないんでしょうね。」
「フェアじゃないからな。」
 魔理沙は当然、と答える。このまま魔理沙と霊夢の会話が続くものだと二人とも思っていたのだが、意外にもパチュリーから話をかけてきた。しかも読んでいる途中の本を置いて、である。
「一戦、お手合わせ願えないかしら。」
 パチュリーは図書館の奥から小悪魔を呼び寄せ紅茶を入れさせ、一息ついてから霊夢へ対戦を申し込んだ。
「貴女がこの異変を解決しようとしていることは私にとっては関係のないこと。でも、魔理沙の話を聞いていて貴方に興味を持ったの。資料にも、博麗の巫女は強大な力をもっていると記してある。これまでに幾度か異変らしきものを解決したということも聞き及んでいる。しかし、貴女が人間であるというならば限界が必ずあるはずよ。そして、人間の限界は私たち魔女に比べて小さなものであると、この図書館に収められている膨大な知識は告げている。おそらくは貴女はレミィに届かない。まったく届かないでしょう。最後まで遊ぶことができないなら遊ばないと同じ事。だから私が壊してもいいかなって思うのよ。どう転んだところでどちらかに壊されてしまうんだから。」
 霊夢は黙ったまま応えない。代わりに魔理沙が一口付けることとした。
「弾幕で遊ぼうだなんてお前さんらしくないじゃないか。なんだかんだと御託を述べているが、目的は何なんだ。」
「やっぱりそれだけじゃダメかしらね。これだけでは戦ってもらえないかしら。博麗の巫女さん?…、そうダメなのね。ちょっと待って、考えるから。本当に戦いたい理由。本当の理由。…私にもはっきりとはわからないけれど、多分…せっかく作ったスペルカードを見てもらいたいんだと思う。私は、この図書館で百年近くにわたって研究を続けてきた。その時間の中で、その情報を蓄えてきた。情報の量はたかだかこの図書館に収まる程度ではあるけれどね。そのすべてをかけて作りだした、発狂しているというわけでもない、ただ整然としているわけでもない、5つの元素の具現。私なりの『世界の答え』を…なんていったらよいのかしら……顕示、そうね。顕示したい。せっかくのスペルを、そこいらの妖精とか、そこいらの門番とか、そこいらの吸血鬼とか、そこいらの妖怪とか、ただの人間とか、そんな存在に使いたくない。世界の構築者である、世界の答えに幻想郷で最も近い一人である博麗の巫女に見てもらえる機会が現れたのよ。味わってもらいたいと思ってはいけないかしら。あの隙間妖怪にっていうのもよさそうなんだけども、折角なら人間のほうがいいじゃない?人間のほうが壊した時に楽しいもの。……さて、小悪魔。今すぐに準備なさい。博麗の巫女がどんなふうに私を楽しませてくれるのか。楽しみで楽しみで、仕方ない。私のこれまでの経験をその身をもって、」
 しかし、その言葉が終わる前に霊夢は戦闘を否定する。
「……、待ちなさい。私は貴女とは戦わない。一切そのつもりはない。貴女が事件に関与していないとするのならば、私が貴女にとって敵でないように、貴女も私にとって敵ではない。」
一呼吸をおいて、霊夢は語り続ける。
「お前はスペルカードルールを理解しているのか。スペルカードルールは人間を殺さないためのものだといっても過言ではない。妖怪を滅ぼさないためのものだといっても過言ではない。貴女がこれからの決闘において私を殺す気でいるのならば、私は全能力を持ってお前を打ち滅ぼす。魔女よ、改めて問う。貴様はスペルカードルールを遵守する気があるのか。」
霊夢は冷たく言い放った。あまりにもらしくない言葉に魔理沙が口を出す。
「…、そんな言い方をするなんて霊夢らしくないぜ。もっと回りくどくも鋭く相手の弱みを突くのかと思ってた。まぁ私としては、せっかく戦うんならレミリアとの戦いが見たいがな。」
 パチュリーはようやっと落ち着いたようで、一度ため息をつき小悪魔にもう一杯の紅茶を要求した。
「……そう。わかったわ。いえ、理解したという方が正確のようね。できれば貴女と戦いたかったのだけれど、今はやめて起きましょう。喋り過ぎて喉の調子が悪いようだし……」
 紅茶を持ってきた小悪魔も、
「パチュリー様があそこまで喋るのを始めてみた気がします。」
 と、驚いている。霊夢は、パチュリーとの談話は終わったと判断したらしく、席を立った。
「さてさて、この魔女がスペルカードルールの意義を勘違いしていたことは問題ね。レミリアとやらが同じ間違いをしていたなら説教してやらないと……。いえ、かなり子供っぽい性格だと聞いているから”遊び”であることは理解しているはず。問題は、一緒に遊ぶということを理解しているかどうか、ね。」
「なるほどな。スペルカードルールはコミュニケーションなわけか。霊夢、実は他の奴と遊びたかっただけなのか?」
「勿論違うわ。。遊びたがっている妖怪の相手をするためよ。」
 少しあきれた魔理沙ではあったが、霊夢の言に最終的には納得したようだ。「さて、それでは…」と霊夢が図書館を出る挨拶をしようというとき、ドアからノックの音がした。

ノックの後、恭しく現れたのは一人のメイド。小柄とはいえないが、まだ20にも届かないような歳ではないだろうか。
「失礼いたします。博麗霊夢様はこちらにいらっしゃいますでしょうか。」 
霊夢はこの少女が誰かは魔理沙の話からわかっていたが、あえて名を問うこととした。
「私が、博麗霊夢よ。そういう貴女はどなたかしら。」
「私、この紅魔館でメイド長を勤めさせていただいております。十六夜咲夜と申します。以後、お見知りおきのほどを。」


幕間⑥
 話が咲夜の登場にまで進んだところで、一同は話を一旦落ち着かせる。
「魔理沙から聞く前から、噂には聞いていたけれどもね。まさか本当に人間がいるとは思わなかったわ。」
 と霊夢もこのときのことは驚きであったようだ。驚きのついでにと、咲夜が来る前はどうしていたのかをレミリアに聞いてみようとしたがすんでのところでとどまった。どうせ従者を連れてきては、飽きるたびに食料にでもしてきたのだろうと、判断したのだった。そこで、別の質問に切り替えることにした。
「今回の従者もなかなかに長いようだけど、どこで拾ってきたのよ。」
しかして返ってきた返事は簡単なもので、
「咲夜が里で拾ってきたのよ。なんでも親を亡くしたとかで途方にくれていたらしいわ。」
 さぁどうだか、といった疑念の表情を浮かべる霊夢を気にかまわず、昔話は進むのであった。


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